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ヒートシール の総合解説書 発刊!案内コーナー
幸書房刊 菱沼 一夫著 書籍コード:ISBN978-4-7821-0306-7 C3058
B5版,並製,197ページ,3675円(本体3500円)
【本書の特長】
日夜プラスチックのヒートシールで苦労している包装関係者待望のヒートシールの総合解説書が発刊されました。
国内外200社(件)以上のヒートシールの半世紀の懸案の解析と改善の取り組み、そして対応技術の開発を集大成した
≪世界初≫
のヒートシールの基礎と実際の総合書です。
本書は、従来の引張強さ依存(凝集接着;破れシール)のヒートシールの解析を脱出して、新規にヒートシールの溶着面温度をパラメータにした、解析を剥がれシール(界面接着)領域に拡大して、ヒートシール現象を革新的に見直したものであります。本書には,ここ10年間に著者の発表した学位論文(東京大学)、学会誌に投稿した論文、業界誌、更に講演の論述の大半を包含しています。英語版(翻訳版)が近々にアメリカから出版されます。
本書の提示の
“世界標準化”
を目指します。本書で記述した開発技術は日本・アメリカへの特許出願と取得をしていて、ほとんどが公開(通常実施権)されていますので、各位の実践利用の障害はありません。
◎
『英語版のご案内』
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【本書の購入方法】
以下の方法で容易に手に入れることができます。
(1)
インターネットのBookサイト
(2)
最寄の書店(在庫のない場合は注文取り寄せ)
(3)
幸書房:FAX(03-3512-0166)
http://www.saiwaishobo.co.jp/
※講習会,勉強会のテキスト等で同時に大量に購入の場合は便宜を図ります。幣所にご一報下さい。
【本書の内容】
[各章題]
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[内容]
又は
[中見出し]
、
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が見られます。
◆ はじめに
はじめに
プラスチックは社会に登場して既に半世紀以上になって,我々の日常生活には不可欠な基材になっている. プラスチックのシートやフイルムの加工は加熱操作による熱接着(ヒートシール)が適用されている. ヒートシール技法はプラスチックのフイルムを簡易に袋にしたり,カップやボトルの蓋のシールができる特徴があって,包装材料への普及に非常に貢献している. 日本では1980年代から“ポーションパック”に代表される使用単位や1人の1回あたりの小分け包装のニーズが高まってきた. そのために生産量の増加を伴わない包装数量の増加が続いている. 今日の日本では,赤ちゃんから老人に至る全ての年代で,加工食品,スナック食品,飲料,内服薬,医療用品,その他の日用品に適用されたヒートシール製品を毎日10ケ以上消費しており,毎日10億ケ以上のヒートシールを用いた包装袋が市場で消費されている.
プラスチックが軟包装やフレキシブル包装に利用された当初は単なる小分けの“梱包”機能で始まった. その後,包装材料の普及と機能(酸素,水分,香気成分,遮光等のバリア性能)の向上によって,従来の金属缶,ガラス瓶,瀬戸物容器等からの代替が急速に進展した.その代表的な例は,インスタントカレー食品のレトルト包装や牛乳や清涼飲料の包装である.医薬品分野では注射薬のガラス瓶の代替にもプラスチックバッグが利用されるようになってきた. 軟包装は年々新たな高機能が要求され,悪戯防御」や「使い勝手」改善の機能も要求されるようになっている. 包装に必要な重要な基本機能には「異物の混入防御」,「正確な計量」,「封緘の保証」があり,腐敗や変質防止と安全性を保証する必要がある. 「異物の混入防御」,「封緘の保証」はヒートシールによって達成される.
また「封緘の保証」により食品の鮮度保持の向上が図られ,食の安全に著しく貢献している.
ヒートシールはプラスチックの熱可塑性を利用した加熱接着方法であるが,10μm程度の微細な加熱接着面の温度を高速,高精度に計測をする温度測定法が最近までなかった.そのため,ヒートシールの接着状態は熱接着したサンプルを10~25mm幅の短冊状に切って,引張試験に掛け,引張強さで評価してきた.熱接着の仕上がりを間接的な引張強さで評価する方法が永く支配している.
プラスチックの熱接着の発現温度は材料毎に固有の値を持っている. 熱接着は溶融温度まで加熱した後で冷却することによって完結するが,加熱温度によって接着強さが変化する領域を持っている. この領域では接着層は軟化からペースト状になる.
そして≪Tm≫と呼ばれている≪融点温度≫を超すと液状となる. 溶融温度≪Tm≫を超す温度帯の加熱では相互の接着面は溶融混合状態となり加熱後の冷却で一体化する凝集接着となる.この強さは材料の持つ固有の強さに近い。凝集接着は二層が溶融接着するため接着部は厚くなり,接着面が剥がれないため、引張強さは接着部位の周辺の伸び応力を測定していることになる. 従来のヒートシール試験法は、この凝集接着を測定しており,接着強さは接着線の周辺の伸び強さを計測していたことになる. 引張強度を高めるために材料の伸び強さを高めることが、ヒートシールのトラブル対策の中心であった.
エレクトロニクス技術の飛躍的な進展によって微小な温度信号(電圧)を容易,廉価にかつデジタル情報として取り扱うことができるようになった. 計測データは通信機能を利用して容易にパソコン処理ができるようになってデータ解析も簡単にできるようになった. 筆者はヒートシール面を直接測定するヒートシールの溶着面温度測定法;“MTMS”を1998年に東京パックに発表した.
この測定技法を活用して,従来からのヒートシールの課題に取り組んだ.国内外から寄せられる多数のヒートシールの課題に対応してきた. これらの取り組みを集大成して,ヒートシールの合理的運用法を完成し,学位論文『熱溶着(ヒートシール)の加熱温度の最適化』(2006年4月:東京大学)にまとめた.
今日においても体系化されたヒートシールの文献は非常に少ない. 本書は学位論文に提示したデータをベースにヒートシールの合理的な運用方法にまとめ直したものである. 本書では溶着面温度をパラメータにしたヒートシールの「新論理」,「新操作」,「新知見」の30項目を網羅した.これらは読者の課題の抜本的な改善,改革に役立てると信じている.
本書では次の配慮をして著述した.
(1)ヒートシールの基礎情報を提示して,ヒートシール技法の合理的な理解を図った.
(2) 本書ではヒートシールの発現のメカニズムに関係する化学,力学の解説をし,テキストとして利用できるようにした.
(3) 学位論文で提示したデータを使用し,文献としての利用ができるようにした.
(4) 事象説明には実際の特性測定データを引用して説明した.
(5) 現場技術者にはハンドブックとして利用していただけるように配慮した.
2007年4月 著者:菱沼 一夫
◆ 推薦の言葉:小野 擴邦 東京大学名誉教授
情熱の書「ヒートシールの基礎と実際」を推薦する
石油化学の進展にともなう材料革命は様々のプラスチックの出現を促し,物流における包装の形態にも大きな影響を及ぼした.そして,新たな用途展開を目指してプラスチック材料の特性改良もますます進んでいる.
「ヒートシール」技術は,材料進展にあいまって展開されている一つの成果である.本来,「ヒートシール」は接着におけるホットメルト接着技術として分類される.熱可塑性樹脂の溶融接着を基本とする「ヒートシール」技術は,20世紀半ばに食品包装において実用化され,今日では食品保存,医薬品包装など,特に少量包装分野に欠かせない技術として開発され現在に至っている.
現在の製品に求められている「ヒートシール」は容易な技術ではない.なぜならこの技術では,保管時には強く接着していて使用時には簡単にはがせる(イージーピール:易開封性)という二律背反の事象を同時に成立させることが常に求められるからである.換言すれば,「ヒートシール」は保管時の「確実な接着」と使用時の「容易な離着」を担保させる均衡の技術である.
このようなことから,「ヒートシール」という難問に敢えて挑戦した成書は現在までほとんど出版されていない.今般,菱沼一夫氏による本書が出版されたことを慶びとする.
本書は,民間企業を経てコンサルタントとして長年にわたり「ヒートシール」に情熱を傾けてきた筆者ならではの豊富な経験に基づく問題点の抽出とそれから導かれるアイディア豊かな解決法の集大成である.膨大なデータに基づく本書の要約は難しいが,従来の「ヒートシール」技術があまりにも「確実な接着」に固執しすぎ,接着性やイージーピール性をかえって犠牲にしているというアンチテーゼの提起とその解決には総体の溶融温度ではなくミクロな溶着面での温度管理が重要であるという指摘は,近年注目されているポリマーのバルクとしての熱的挙動と表面におけるそれとの相違を想起させ,傾聴に値する.また従来の試験法は実態と乖離しているとの視点から開発された新規な試験法は,はく離挙動との関連において興味深い.そして,困難とされていた生分解性プラスチックでのヒートシールも表面温度管理が適切に為されれば可能となることの実証は,実用性において注目すべきものである.
まさに本書から,ヒートシール材料の溶融におけるピンポイントをどのように見抜き,顧客の望む適切な「ヒートシール」性をどう達成させるのか,に傾注した筆者の情熱が伝わってくる.
本書を,「ヒートシール」技術に携わる研究者・技術者のハンドブックとしてばかりでなく,「ヒートシール」とは何かを知りたい一般読者や材料開発に携わる研究者・技術者への参考書として推薦する次第である.
2007年5月 工学院大学教授・東京大学名誉教授 小野 擴邦
◆ 本書に出てくるキーワードの解説
◆ 代表的なヒートシールの問題・課題の一覧表
従来のヒートシールの“不具合”の集約
あなたは下記の課題をどのように対処していますか?
本書では溶着面温度測定法;“MTMS”を展開して溶着面温度をパラメータにした解析と改善法を提示する.
◇ヒートシール条件の「圧力」、「時間」は何ですか?
◇運転速度はどのような根拠で決めていますか?
◇生産量の都合で運転速度を決めていませんか?
◇“波型”シールはどんな機能を期待していますか?
◇ピールシール設計は巧く機能していますか?
◇ヒートシール強さの管理で安心できますか?
◇どうしてテフロンシートを使うのですか?
◇どうして片側加熱を使うのですか?
◇ヒートシール巾(フィン)の寸法はどのように決定していますか?
◇破袋が発生したらどのような対応をしていますか?
◇2層、4層の同時シールをどのように管理していますか?
◇クッションにシリコンゴムを使ってどんな効果を期待していますか?
◇剥れシール(Peel Seal)と破れシール(Tear Seal)はどのよう識別していますか?
◇剥れシール(Peel Seal)と破れシール(Tear Seal)の使い分けができますか?
又どのように制御していますか?
◇レトルト包装のヒートシールのHACCP達成方法は?
◇ヒートシールの「品質保証」を求められたら定量的な保証範囲を提示できますか?
◇ヒートシールの改善のため(?)包装材料の過剰設計の抑制をしていませんか?
◇噛み込みシールをどのように処理していますか?
◇インパルスシールの条件設定はどのように決めていますか?
◇インダクションシールの励磁条件はどのように決めていますか?
◇ヒートシール検査機がどうして欲しいのですか?
◇溶着面の白濁、発泡をどのように処理していますか?
◇ヒートシーラント(接着層)の厚さはどのようにして決めていますか?
◇ラミネーション強さはどのように定義していますか?
それは何に機能していますか?
◆ 本書で取上げたヒートシールの「新論理」,「新操作」,「新知見」のリスト
本書で取上げたヒートシールの「新論理」,「新操作」,「新知見」のリスト
新規提示項目
主たる掲載章
(1)ヒートシールの溶着面温度応答の解説
(2)ヒートシールの合理的な加熱方法
(3)ヒートシールの熱流解説
(4)各種加熱方法の溶着面温度の測定事例
(5)JIS法の“不具合”解析
(6)JISのヒートシール強さは何を測定しているのか?
(7)ヒートシールの破れを起す破壊力源
(8)加熱時に発生する表面と溶着面の温度差
(9)溶着面温度測定法;“
MTMS
”
(10)包装材料毎の溶着温度の確定法
(11)溶着面温度をパラメータにしたヒートシール強さ
(12)ヒートシール “不具合”の発生原因の究明
(13)剥がれシールと破れシールの識別法(「角度法」)
(14)ヒートシールと圧着圧
(15)ヒートシールのフィンの機能,「剥離エネルギー」
(16)ヒートシーラントの厚さとヒートシール強さ
(17)ヒートシールのHACCP保証
(18)イージーピールの発現検証と制御
(19)溶着層の発泡の原因と対策
(20)テフロンシートのカバーの功罪
(21)圧着面の粗さによるヒートシール強さの相違
(22)ピンホール,エッジ切れの“発生源解析”
(23)加熱温度の最適化の決定方法
(24)加熱体の表面温度の調節法
(25)溶着面温度のシミュレーション
(26)2段加熱法による高速化と高信頼性両立
(27)メーカーの協業提案
(28)JIS Z 0238を補完する試験法
(29)剥がれと破れシールを混成させる“Compo Seal”
(30)生分解性プラスチックのヒートシール性能
【3.1】
【3.2】
【6.8】
【3.3.3】
【3.4.5】
【3.4.5】
【3.4.6】
【4.3.1】,【9.4.9】
【4.2】,随所
【4.3】
【4.3.2】
【5.-】,【6.-】
【7.2】
【6.3】
【8.1】
【8.2】
【8.4】
【8.5】
【8.6】
【6.5】
【6.10】
【9.1】
【9.2】
【9.3】
【9.6】
【9.6】
【10.7】
【11.-】
【9.7】
【10.5】
第1章 ヒートシール技術の沿革と機能
1.1
ヒートシール技法の発展の概況
1.2
プラスチックのヒートシール性改善の沿革
1.3
ヒートシールの包装品質の維持機能
1.4
ヒートシールの特徴
1.4.1
接着の基本の概要
1.4.2
ヒートシールの動作説明
1.4.3
加熱温度と剥がれシールと破れシールの発現
1.4.4
イージーピール(易開封性)のニーズ
1.5
ヒートシールの過加熱の課題
1.6
合理的なヒートシールの達成方法
第2章 ヒートシールの化学
2.1
プラスチック材料の熱可塑性の利用
2.2
ヒートシールの接着
2.2.1
ヒートシールの接着結合力
2.2.2
ヒートシールの接着面モデル
2.3
ヒートシールを利用するプラスチック材料(包装材料)の特徴
第3章 ヒートシールの加熱の基本
3.1
ヒートシールの溶着面温度の応答の様子
3.1.1
加熱温度と溶着面温度変化の基本
3.1.2
加熱温度の変化と溶着面温度応答の関係
3.1.3
接着材料の厚さと溶着面温度応答の変化の関係
3.2
合理的なヒートシールの達成方法
3.2.1
従来のヒートシール確認の欠陥
3.2.2
確実なヒートシールは溶着面温度の確認
3.3
加熱方法の特徴と使い分け
3.3.1
加熱方法の種類
3.3.2
両面加熱と片面加熱の特徴
3.3.3
ヒートシールの加熱法の特徴
(1)
ヒートジョー加熱方式
(2)
インパルス加熱方式
(3)
熱風加熱方式
(4)
超音波加熱方式
(5)
インダクション加熱方式
(6)
電界加熱方式
(7)
ホットワイヤー加熱方式
3.4
従来のヒートシールの評価方法と課題
3.4.1
ASTM Standardsの解析/評価法
3.4.2
JISの解析と評価法
3.4.3
ASTMとJISの相違
3.4.4
JIS/ASTMの解析と評価法の特徴と考察
3.4.5
JIS/ASTMの評価方法で分かることと分からないこと
3.4.6
ヒートシールを破壊する力の発生メカニズム
第4章 ヒートシール操作の基本
4.1
ヒートシール管理の基本は溶着面温度
4.1.1
従来の温度管理の課題
4.1.2
溶着面温度情報の必要性
4.2
溶着面温度測定法:“MTMS”
4.2.1
溶着面温度測定システムとは?
4.2.2
溶着面温度測定に必要な基本機能
4.2.3
溶着面温度測定システムの構成項目と仕様
4.2.4
溶着面温度測定装置の高速な応答性
4.2.5
≪“MTMS”キット≫を使ったヒートシール部位の測定事例
4.2.6
「最適加熱範囲」の検討の仕方
4.3
材料毎の溶融特性の測定と下限温度の決定
4.3.1
ヒートシール強さの発現温度の検出方法
4.3.2
溶着面温度データから熱変性点を確定する方法
4.3.3
変曲点が現れないケース
4.3.4
測定結果とヒートシール強さの関係
第5章 ヒートシールの不具合を発生させる要素
5.1
加熱の是非
5.1.1
溶着面温度を乱す要素
(1)
溶着面温度の確実な達成
(2)
加熱温度の不具合の発生要因
1) 設定温度が正しくない
2) 加熱能力が足りない
3) 包装材料の熱容量を正しく把握していない
(3)
加熱時間の不具合の発生要因
1) 運転速度が管理されていない
2) 包装材料の熱容量を正しく把握していない
3) 装置の調整がうまくできていない
5.1.2
オーバーヒート(過加熱)で起こる不具合
(1)
“ポリ玉”
(2)
シュリンク
(3)
材料の熱変性
5.2
破袋応力源
5.3
タックの発生原因
5.4
ヒートシールの不具合の解決はオーバーヒートの制御
第6章 ヒートシールの従来法の合理性の検討
6.1
緒言
6.2
4重のヒートシールの各部位の温度応答の計測
6.3
ヒートシールの圧着圧と溶着面温度の関係
6.4
揮発成分を含んだヒートシールの溶着面温度の挙動測定と考察
6.5
発熱体にテフロンシートを装着した場合のヒートシール操作への影響
6.5.1
発熱体にテフロンシートを装着した場合の表面温度の挙動
6.5.2
発熱体にテフロンシートを装着する効用の是非
6.6
発熱体の表面温度分布の計測と考察
6.7
片面加熱でよく起こっている問題の解析
6.8
流出熱によるヒートシール面に発生する温度分布
6.9
ローレット仕上げの功罪
6.10
圧着面の粗さでヒートシール強さが変わる
第7章 剥がれシールと破れシールの識別方法
7.1
破袋の発生原因の“ポリ玉”の解析
7.2
剥がれと破れシールの識別法:[角度法](Angle Method)の開発
7.2.1
ヒートシール強さ発現要素の検討
7.2.2
破れシールの検出法の検討/「角度法」の提案
7.2.3
「角度法」の測定事例
7.2.4
「角度法」で得られる情報
7.3
参考文献
第8章 ヒートシール機能の確認と向上方法
8.1
剥がれシールの剥離エネルギーの活用方法
8.1.1
緒言
8.1.2
ヒートシールの接着面の破断エネルギー
8.1.3
剥離エネルギー論の構築
8.1.4
剥離エネルギーの活用
8.1.5
確認実験方法
8.1.6
データの積分範囲と演算方法
8.1.7
引張試験パターン
8.1.8
破断エネルギー,剥離エネルギーの測定結果
8.1.9
剥離エネルギーの効用の考察
8.1.10
剥離エネルギー論の実際への適用
8.1.11
剥離エネルギー論の適用効果の確認
8.1.12
参考文献
8.2
ヒートシーラントの厚さとヒートシール強さ
8.2.1
緒言
8.2.2
Co-polymerによる剥がれシールの発現メカニズムの考察
8.2.3
実験用資材の仕様
8.2.4
ヒートシールサンプルの作成方法
8.2.5
引張試験の方法
8.2.6
ヒートシーラントの厚さと引張強さの測定と考察
8.2.7
参考文献
8.3
ヒートシール強さとラミネーション強さの相互関係
8.3.1
緒言
8.3.2
ラミネーション強さとヒートシール強さの関係の解析
8.3.3
ラミネーションフイルムの構成要素のヒートシール強さへの反映
8.4
ヒートシールのHACCPの達成法
8.4.1
緒言
8.4.2
レトルト包装のヒートシールのHACCPの対象事項
8.4.3
レトルト包装のおける加熱殺菌の特徴
8.4.4
HACCP確認項目と目的
8.4.5
確認に使用したパウチ材料のリスト
8.4.6
パウチ材料のヒートシールの固有熱特性の測定結果
8.4.7
測定結果の考察
8.4.8
加熱温度と加熱時間の選択
8.4.9
参考文献
8.5
イージーピールの発現検査と利用
8.5.1
緒言
8.5.2
イージーピールの発現方法
8.5.3
イージーピール性能の試験方法
8.5.4
イージーピール材料の引張試験結果
8.5.5
引張強さの変動パターンの解析と考察
8.5.6
最適加熱温度の現場への適用上の配慮
8.5.7
引張パターンの大きな変動のメカニズムの考察
8.5.8
参考文献
8.6
溶着層の発泡の原因と対策
8.6.1
緒言
8.6.2
ヒートシール面の発泡のメカニズム解析
8.6.3
実験結果と考察
8.6.4
発泡面のヒートシール強さの変化
8.6.5
高圧着におけるギャップ調節の効果と“ポリ玉”の制御
第9章 ヒートシール操作の機能性改善
9.1
ピンホール,エッジ切れの発生源解析と改善策
9.1.1
ヒートシールの課題の“複合起因解析”
9.1.2
ヒートシール管理の“悪循環”の継続の発生解析
9.1.3
ヒートシールの課題の関連解析;“複合起因解析”
9.2
剥がれシールゾーンの活用
9.2.1
剥がれシールゾーンの発現原理
9.2.2
剥がれシールの特徴
9.3
表面温度の正確な調節法
9.4
溶着面温度の任意温度のシミュレーション
9.4.1
緒言
9.4.2
ヒートシールの熱伝達系の電気回路への置き換え
9.4.3
ヒートシールの加熱系の応答変化に関係する要素の分類
9.4.4
熱伝導系のステップ応答の特性の利用
9.4.5
線形応答として扱える熱変性の小さい材料のシミュレーション方法
9.4.6
熱変性の変曲点が顕著に現れる非線形応答の場合のシミュレーション方法
9.4.7
線形応答として扱える熱変性の小さい材料のシミュレーション結果と考察
9.4.8
熱変性の変曲点が顕著に現れる非線形応答の場合のシミュレーション結果
9.4.9
2段加熱による最適加熱の適用の考察
9.5
ホットタックと冷却プレスの効果
9.5.1
加熱後の溶着面の冷却パターン
9.5.2
ホットタック現象の冷却プレスによる改善
9.6
加熱温度の最適化の実施方法
9.6.1
緒言
9.6.2
加熱温度と加熱時間の変更によるリスクの確認
9.6.3
最適加熱条件の設定の手順
9.6.4
最適加熱方法のリスクマネージメント
9.6.5
加熱方法とヒートシールフィン(幅)寸法の検討
9.6.6
レトルトパウチの適正加熱化
9.6.7
2段加熱法による高速性と過加熱の防御の両立
9.6.8
食パン包装のイージ―ピールの多重シールの保証方法
9.7
剥がれシールと破れシールを混成した新ヒートシール方法:“Compo Seal”
9.7.1
緒言
9.7.2
剥がれと破れの混成ヒートシール方法の論理
9.7.3
混成シール;“Compo Seal”の効果
9.7.4
ヒートジョー方式での実施方法
9.7.5
インパルスシールでの実施方法
9.7.6
加熱面の温度分布の設定方法
9.7.7
実施例の評価
9.7.8
“Compo Seal”(混成法)の産業上の利用可能性
第10章 ヒートシール“不具合”の解析/改善事例
10.1
緒言
10.2
医療用滅菌包装材料(不織布)の適正なヒートシール条件の検討
10.3
紙カップ包装の蓋シールの不具合解析事例
10.4
改造した包装材料の性能改善の効果評価
10.5
生分解性プラスチックのヒートシール特性の精密測定
10.6
ASTM(F88-00)に提示されている破れ方の“MTMS”による解析
10.7
包装材料メーカー,包装機械メーカー,ユーザーの協業の仕方
第11章 JIS 法を補完する溶着面温度をパラメータにしたヒートシールの試験方法法
11.1
ヒートシールの新しい解析と管理法の提案
11.2
新しいヒートシールの解析と評価の展開法
【I.包装材料のヒートシール特性の測定方法】
1.
引張試験サンプルの作り方
1.1
15㎜巾の加熱サンプルの作り方
1.2
15㎜巾の引張試験サンプルの寸法
1.3
「角度法」の引張試験サンプルの作り方
2.
引張試験方法
3.
採取データの利用の仕方
4.
加熱時間/圧着時間の決定方法
【II. 製品のヒートシール強さの評価の仕方】
1.
サンプリング箇所
2.
既製包装品の引張試験片の作製方法
◆ あとがき
あとがき
私がヒートシール課題に出合ったのは日本でも小分け包装が盛んになってきた,20数年前の1980年頃であった.工場では消費者からのヒートシールクレームが日常的に起こって,品質管理担当者は大変な毎日であった.包装には関係のなかった小生にお鉢が回ってきて,その原因究明を行ってビックリしたのは,ヒートシールは温度が制御要素であるのにもかかわらず,接着面の温度が直接的な管理対象になっていなかった.小生は電子工学が専攻であったから,早速溶着面温度の計測に取り組んで運転中の一定条件の維持の確保はできるようにして,レトルトや調味料包装のトラブル発生の抑制は果たせた.微細な溶着面の温度計測は,微小な温度信号(電圧)を100万倍以上に増幅しなければならなかったので,専門家を以ってしても汎用化は難しかった.
エレクトロニクス技術の発展によって,微小電圧の増幅は安くそして容易になり,またパソコンとの連携が簡単な測定信号のデジタル化が可能になり,データ処理も一瞬にできるようになった.これで,汎用化した溶着面温度測定法;“MTMS”(1998年)に結びつけることができた.“MTMS”をツールにして国内外のヒートシールの課題の収集と各社さんの“お困り”の検討を行い,その集大成が本書である.情報のご提供と小生の活動を支えて戴いた各位への感謝の気持ちを本書の発刊でお応えしたい.本書をご覧になったご賢明な読者諸氏は,従来のヒートシールの問題と課題は「凝集接着の達成がヒートシールの最善」と考えていたことに間違いを発見されたことと推察する.小生も包装作業に携わった当初,包装現場に行って,工程中のヒートシール品を抜き取り,机や装置の角に袋を叩きつけて,ヒートシールエッジの剥がれ具合を見て,“剥がれ”が生じると機械メーカー,包装材料メーカーに改善をお願いしていた.これを思い起こすと恥ずかしくなる.
溶着面温度の測定法の開発に留まらず,関係者の待望であるヒートシール論理の体系化その展開技術の開発に関与でき,かつ期待に応えられたことは,小生の生存を確認できて大変に光栄である.
本書は2006年に授与して戴いた学位(東京大学)の論文を発展させたものである.
このご指導戴いた東京大学名誉教授/工学院大学教授の小野擴邦先生には光栄にも推薦文をお寄せ戴いた.技術士の小山武夫先生には,プラスチックの基礎,溶融特性,高分子各論について懇切丁寧なご指導を戴いた.ミシガン州立大学包装学科のDr.Hugh Lockhart教授には,特別講義の機会とアメリカで提起されている課題の提示と共同研究の機会を作って戴いた.PMMI(アメリカ包装機械工業協会)のBen Miyares副会長には欧米の業界,学際におけるヒートシールの取組み情報を提供戴くと共に,関係者や関係大学の紹介を戴いた.日本包装学会の各位には長年に渉って,研究経過の発表の場の提供と激励を戴いた.技術士包装物流会,日本包装コンサルタント協会の仲間には常日頃,適切な指導,鞭撻を戴いた.(社)日本包装技術協会は研究会でのヒートシールの講演の機会を作って戴いている.(社)日本包装機械工業会の毎年の包装学校の講義に溶着面温度測定法を講義項目にご採用戴いている.各方面の友人達は,研究の成功に生涯的な叱咤激励を送り続けてくれている.紙面を通して各位に感謝を申し上げる.原稿執筆中に完成できた,今迄の取組みの集大成となる究極のヒートシール方法の“Compo Seal”(混成ヒートシール方法)を付加できた.
索引は[節]単位のキーワードを取上げた.新たにヒートシールに取り組まれる諸兄には,「課題」となった事項に相当するキーワードから入り込むことをお勧めしたい.
「節」を横断しているキーワードはヒートシールの全体にかかわっていると言える.
掲載箇所の多いキーワード(「ポリ玉」,「ピンホール」,「過加熱」,「タック」等)を主体的に取り組むことで課題の解決,改善を効率よく処理できると信じる.
本書がヒートシール技術のグローバルスタンダードとして,浸透することを期待している.日本に限らず,世界各国の関係者に利用して戴けるように,近々アメリカから英語版の出版を準備している.
本書には 筆者の取得特許と特許出願を多数(リストは巻末に記載)引用しているが,各位が自由に利用できるように「通常実施権」とノウハウの公開を筆者が主宰している菱沼技術士事務所から公開している.
本書の記載した項目の進化情報は順次に,菱沼技術士事務所のホームページに紹介して行きたい.ご参照戴けたらありがたい.
本書の発刊に当たっては,株式会社幸書房夏野雅博出版部長には大変なご尽力と協力を戴いた.改めて感謝申し上げる.
2007年6月 菱沼 一夫
【索引】
1000項目のキーワード
【付録】
(1)従来法と溶着面温度測定法;“MTMS”特長比較
(2)本書の記述に関連した特許取得と特許出願の一覧表
(2007年4月現在)
「通常実施権」
を公開しています
(3)
≪“MTMS”キット≫
の頒布広告
【執筆者略歴】
- 著 者 略 歴 ―
1940年7月 神奈川県川崎市生まれ
1964年3月 中央大学理工学部電気工学科卒業
1959年4月 味の素株式会社中央研究所入社(計測と制御の研究部に所属)
1994年7月 味の素株式会社主席研究員(包装エンジニアリング担当)
1996年4月 味の素株式会社 自主退社
1996年5月 菱沼技術士事務所設立(経営工学コンサルティング)
現在に至る
2006年5月 博士(農学)(東京大学)取得
現住所: 〒212-0054 川崎市幸区小倉1232
e-mail:
rxp10620@nifty.com
URL:
http://www.e-hishi.com
【本書の正誤表】
2008年3月11日現在
(1)見開き3ページ目:
タイトル;情熱の書「
シ
ートシールの基礎と実際」
6行目; ~基本とする「シートシール」 【
シ
】→ 【
ヒ
】
(2)あとがき:180ページ、1行目;~アメリカ包装機械工業協会)のBen Miyare
s
(3)p.12 本文行 1行目: ポリエチレ
◆
→ ポリエチレ
ン
(4)p.21 図3.5 中間:
瀬
着面 →
接
着面
(5)p.46 本文下から3行目と5行目: 溶融温度(
Tg
)→ 溶融温度(
Tm
)
(6)p.52 図4.13: 溶融温度[
Tg
]→[
Tm
]
本文上から5行目と6行目: 溶融温度(
Tg
)→ 溶融温度(
Tm
)
(7)p.66 図6.8(a): サンプル:
◆
0.1mm → サンプル:
紙
0.1mm
(8)p.71 図6.11 図中: ①高温側:
220
℃ →
210
℃
(9)p.89 上から2行目: 100~
125
℃ → ~
124
℃
(10) p.97 図8.13: 縦軸;
引つ張
り強さ →
引張
強さ、横軸;
引つ張
り →
引張
(11) p.98 図8.14のタイトル: デラ
ミラ
ミネーション → デラ
ミ
ネーション
(12) p.99 上から2行目: デラミ力(1),(2)に → デラミ力
を
(1),(2)に
(13) p.99 上から4行目: デラミ力
(1)
→ デラミ力
(2)
(14) p.109 図8.20中:
オバー
ヒート制限領域 →
オーバー
ヒート制限領域
(15) p.114 上から5行目:
74
~90℃ →
75
~90℃
(16) p.118 上から2行目: 水分の場合,気化すると → 水分の場合,
1mol(18g)
が気化すると
(17) p.118 最終行: 145~
150
℃ → 145~
155
℃
(18) p.133 上から10行目:
(2)
式に
(1)
を代入して →
(9.4)
式に
(9.3)
を代入して
(19) p.139 下から1行目:
[9.4.7]
→
[9.6.7]
(20) p.161 表10.1: デラミ → デラミ
発生
【本書の記載内容のコンサルティング】
本書の記載内容のコンサルティングは筆者の主宰する菱沼技術士事務所が
「コンサルティング・パック」
の提供でサポートしている。